人の成熟度は「器の大きさ」としてたとえられる。
言葉の勉強とは、まず人の器を育てることから始まる。
こんな言葉から始まる本がある。
それが、
韓国でベストセラーになった「世界の古典と賢者の知恵に学ぶ言葉の力 」。
人文学者と国語の教師の2人によって書き下ろされた本が注目された理由は、アイドルが持っていたからだけではなかった。
なぜ?今、人文学が注目されるのか?
「言葉の力」とは、どういうものかに迫ってみたいと思います。
時代を超えて生きる智慧やヒントをくれる「言葉の力」
「世界の古典と賢者の知恵に学ぶ言葉の力 」というタイトルでピンとこなくても、
BTS(防弾少年団) V(テテ)が、空港で持っていたことがキッカケで話題になった本といえば、
あなたも知っているのでは・・・・・。
V(テテ)? 私は知らなかった・・・・・(^_^;)
その本が、日本でも翻訳され話題になったけど、まだ読んでない人も多いかと思います。
「世界の古典と賢者の知恵に学ぶ言葉の力 」は、
何もアイドルが読んでいたからだけでベストセラーになっただけではなく、「大人の教科書」ともいえる1冊。
東洋と西洋の古典や賢者といわれる人の言葉が、時代を超えて生きる智慧やヒントを与えてくれているんです。
この本は、人文学者と国語の教師の2人によって書き下ろされたもので、
「言葉の力」を知っている私にとって、人文学に興味を持つキッカケにもなった本だとも言えます。
人文学ってどんな学問なの?
人文学って、何に役立つのだろう?
言葉が関わっているだけに、気になるので人文学を覗いてみることにしました。
人文学は言葉を中心とした 多様性が重視される学問
実は人文学は、他のどの学問よりも「言葉」について、深く深~く探求する学問だということを知ったのでした。
今回は、人文学と言葉の関係に迫ってみることにしましょう。
人文学では「言葉」を追求して行くのですが、何よりも多様性が重視される学問なのだとか。
チョッとわかりにくいので、人文学での「言葉」の捉え方を、
「世界の古典と賢者の知恵に学ぶ言葉の力 」から、少しお借りしてみます。
真心のこもったひと言が、 人と人の間を引き裂いてきた古傷を癒やしてくれる。
一つの言葉には、語り手と聞き手の両方の人生が込められている。
まず語り手が、自分の人生の意味を込めて言葉を紡ぎ出す。
次に聞き手が、その言葉を受け止め、自分の人生に当てはめて解釈する。
このようなやりとりが言葉を生み出す。
だから「話し上手」とは、単に話術に長けているというより、絶えず自分を省みて成長し、
他人に関心を傾けて理解し、その場の状況を読み取る目を備えた、総合的な力を指す。
つまり「言葉の勉強」というのは、その境地に至ろうとして努力する過程のことだと言っていい。
( 「世界の古典と賢者の知恵に学ぶ言葉の力 」 より引用)
人文学では、何百年に1度起こるかもしれない危機を念頭に置いて、何十年というスパンで人間に関わる様々なことを学ぶ姿勢が必要だと言います。
この多様性が、社会にとって「危険を回避すること」になるというのです。
つまり安定した時代より、乱世に必要とされる学問なわけですね。
多様性が求められる困惑した時代になった今、新しい社会や考え方・生き方を描くための基本的な考え方が必要になっています。
そう言う意味では、今まさに人文学を学ぶ時だといえるでしょう。
人文学などどいわれても難しそうだし、何といっても学問と言われると敷居が高くなるので、
「言葉」というものにスポットをあてることで、人文学的思考を理解していくことにしました。
「言葉」を身につけることは「生きる力」を獲得すること
人間は本来、生存本能として「生きる力」をもっています。
それとは別に、21世紀の社会の中では「生き抜く力」と「他者と共に生きる力」が必要になります。
変化の激しい社会を生き抜くには、
自分自身を大切にし自己実現を目指しながら、他者を尊重し他者とかかわり合いながら生きる必要があります。
「生き抜く力」・・・・・どんな状況にあっても問題を解決し創造できる力
「他者と共に生きる力」・・・・・他者を尊重し支え合い思いやり協調できる力
それには3つの能力が必要です。
・基礎能力(言語・数量・情報を道具として目的に応じて使いこなす力)
・思考力(物の見方や考え方を深め創造する力)
・行動力
言葉を学ぶことは、この3つの能力を磨くことであり、
「言葉」を身につけることは、「生きる力」を獲得することになるのです。
「言葉」には、文化や哲学など人間の歴史が引き継がれています。
考えを比較吟味して統合し、よりよい解や新しい知識を創り出し、さらに次の問いを見つけるヒントが詰まっています。
言葉は、物の見方や考え方を深め、心と感性を育んでいくものだからです。
また、自分と世の中を変えるための手段であり、人と人が「繋がる」ためにも重要なものです。
目的に応じて使いこなすことができるようになると、日常生活や社会・環境の中の問題を見つけ出しせるようになります。
そこから新しい価値観を社会に発信し共有することを通して、他者や社会の重要性を感得できる力となり行動力になります。
「言葉」は覚えるんじゃない!使えないと意味がない
ところが、言葉を身に付けるということ自体を間違って解釈いる人が多くいます。
言葉を身に付けるということは、言葉を自分のものにして使えるようにすることです。
よく言葉を身につけるために語彙力を高めようと言われていますが、言葉をいくら沢山知っていても、辞書に書いてあるような意味を知っているだけでは言葉は使いこなせません。
そもそも「語彙力(ごいりょく)」とは言葉を自分のものにして、どれだけ使いこなせるかという能力です。
「言葉」を身につけると、自分の気持ちや意図を相手やシーンに合わせて、的確に伝えることができるようになります。
つまり、「言葉」を身につけることは、コミュニケーション能力を高めることになるのです。
言葉を身に付けるのに最適な方法が書くこと!
ビジネスでなら、メールでのやりとりや文書を作成しても、プライベートではメモを書いたりなど『文字』を書く機会はあっても、『文章』書く機会は減っているのでは?
そのせいか文章を書くのが苦手で、文章の書き方に悩む人は多いようです。
でも、書くことは「生きる力」に必要な3の能力を高めるのには、最適な訓練方法でもあります。
言葉を使って自分の考えや気持ちを表現できるということは、コミュニケーション能力とも言い換えられます。
- 何を書いていいのかがわからない
- 伝えたいことが何なのかがわからない
- 文章の組み立て方がわからない
- いつも同じ言葉しか出てこない
こういった書き方に悩みがある人は、アウトプット不足からだけでなく、インプット不足も関係があります。
文章に触れる機会が多いほど語彙力は増します。
自分の想いに合った言葉を選び取る力も養われるので、『読む』→『書く』が実践できるのが一番理想的です。
ただ、読書の習慣がない人にとっては『読む』こと自体のハードルが高いものです。
まずは手帳やSNSを使って、自分の想いを文章にしてみることから始めてみましょう。
できれば、自分の未来のためにもブログを持つことをオススメします。
読書が苦手な人は無理せず、徐々に取り入れていけばいいと思います。
伝え方・言葉の選び方で物事が変わる!
言葉の一語一語は、見る限りでは別のものだけど、周りの状況やその時の心情などが複雑に合わさって、言葉に力が宿ります。
人生に深く関わっているものなので、言葉は人間の生き様でもあるわけです。
言葉一語一語の背後に、その人の物の歴史や見方・考え方・感性を背負っているので、言葉そのものだけを捉えるのでなく、なぜ?この言葉が生まれたのか・選ばれたのかを考えましょう。
私たちは、言葉で喜び、言葉で怒り、言葉で哀しみ、言葉で楽しみながら生活しています。
思いや気持ちという心を伝えるのに、言葉を選ぶことはとても大切です。
使う言葉が違えば、世界の認識も変わってしまうことがあるからです。
伝え方・言葉の選び方で物事が変わる!という「言葉の力」に気付かされる動画を紹介します。
最初にダンボールにかかれていた言葉
I'm blind Please help
(私は盲目です。助けてください。)
途中で女性が書いた言葉
It's a beautiful day and I can't see it.
(今日は素晴らしい日なのに、私はそれを見ることはできません。)
「言葉の力」「言葉の選び方」で、物事が変わることにに気付かされる動画ですね。
日本語でも、同じ言葉なのに受けとめ方の違いがある場合や、
一つのことを伝えるのにも違う言葉で表現できることがいくつもありますよね。
日常で使っているからこそ、言葉の可能性に気づかなかったりしますが、
「言葉の力」を感じる場面は、実は身近な所にもたくさんあります。
言葉の勉強を始めたら、いろいろな事に気づかされます。
言葉の持つ力をどのように使うかは、自分次第。
言葉という魔法を使う自覚を持って、言葉の力を他人や自分を元気にする方に使いたいものですね。
これからの時代を生き抜くためにも、ぜひ、あなたの言葉を身に付けていってください。
今回紹介した本も、ぜひ読んでみてください。
「世界の古典と賢者の知恵に学ぶ言葉の力
【もくじ】
第1章 修養 言葉の器の育て方
第2章 観点 ものの見方を変える
第3章 知性 言葉に深みを持たせるには
第4章 創意工夫 生き生きした話術
第5章 傾聴 相手の話に耳を傾けてみる
第6章 質問 うまく質問し、うまく答えるには
第7章 話術 会話のテクニック
第8章 自由 実践する言葉、捨てるべき言葉
実践 賢者たちから言葉の力を学ぶ
【著者】シン・ドヒョン(人文学者)& ユン・ナル(高校の国語教師)